Q:どうして紙媒体のライターのギャラが良かったのか?
A:ズバリ、本が売れていたから
言ってしまえば、これがすべてです。
これだけだと身も蓋もないので、もうちょっと具体的にご説明いたしましょう。
本を作るときの予算やギャラの決定方法
本の場合、刊行する前にあらかじめ発行部数が決まります。
「この本は売れそうだな、初版5万部いっちゃおう!」
「うーん、ちょっと僕はよく分からないから初刷は様子見で1万5000部」
みたいな会議を経て(すげーざっくり)、最初に出版社が何部刷るのかを決めるんですね。
これが漫画とか小説であれば、初刷の冊数で漫画家や作家に入ってくる最初の印税の額が決まるってこと。本が売れて増刷がかかれば、さらに追加でドーンと印税が入ります。
そこにはWEBの広告収入のような不確定要素はなく、発行部数に応じて本の制作費というのはあらかじめ決まってしまうのです。
もちろんライターの原稿料も本の制作費から出ます(ちなみにライターが著者として前面に押し出される場合は印税契約もありうる)。
これは雑誌の場合も同様。
WEBみたいにPVに応じた広告収入に頼っているワケではなく、本や雑誌はお金を取って直接販売し、雑誌の広告枠はスポンサーさんに購入してもらっているのだから当然ですね(部数が下がれば広告枠の金額も下がる)。
「あれ、じゃあ本が全然売れなかったらライターの原稿料はどうなるの?」
こういう疑問は当然出てくると思いますが、本が売れなかったことによる損失を負うのは作家でもライターでもなく「出版社」です。
極端な話、出版した本が1冊も売れなかったとしても作家には初刷分の印税は入ってきますし、ライターの原稿料も規定の額が必ず支払われます。
(最近は売上に応じて変動する契約もありますが、ちょっと本筋からズレるので割愛)
ともかく本や雑誌の場合、まとまった制作費(発行部数による)があらかじめ確保されているのでライターに支払われる金額も必然的に高い。このロジックをご理解いただけたでしょうか。
ちなみにライターのギャラは現在のWEBライターとは比較にならない額だったんですね。
もちろん出版社にもピンからキリまであるので、ギャラが安くて有名なところ(自主規制)もありますが、それでも現在のWEBライターの相場に比べたら全然マシでした。
余談ですが僕のよく知るゲーム関連の書籍を作る編集部では、一時期攻略本やファンブックのブームもあってめちゃくちゃ羽振りの良かった時期がありました。
1年の間に書籍を何冊か手がけていたフリーライターは、20代前半の頃に年収8桁は余裕で超えていましたね……。本がたくさん売れていた時代は、そういう美味しい面もあったんです。
当時フリーランスではなく会社づとめの月給制だったカグラマは、そんな恩恵にはあずかれませんでしたけどね!
次は「紙媒体で書いてたライターたちは今何やってるの?」ってとこに切り込みます。